1994年4月23日に公開された映画『フィラデルフィア』。
この記事では、映画『フィラデルフィア』をネタばれナシであらすじ・みどころ・解説・感想をご紹介します。
映画『フィラデルフィア』の予告編
一流弁護士のアンドリュー・ベケット。実は、同性愛者でありエイズを発症していましたが、会社にはそのことを隠していました。そんなある日、アンドリューは会社から突然解雇を言い渡されます。解雇の理由が、同性愛者とエイズ患者への偏見であると確信したアンドリュー。不当解雇だとし、会社を相手に裁判を起こすことを決めます。
本作は、同性愛者とエイズを理由に不当解雇された弁護士が、自身の尊厳をかけて戦う姿を描いたヒューマンドラマです。主人公アンドリュー・ベケット役をトム・ハンクスが、ベケットを担当する弁護士ジョー・ミラー役をデンゼル・ワシントンが演じている本作。
大スターの2人の最高の演技が光る、見応え十分の作品です。
映画『フィラデルフィア』のあらすじ(ネタバレなし)
フィラデルフィアの大規模法律事務所に勤めるアンドリュー・ベケットは、同性愛者でありエイズ患者であることを会社へ隠していました。エイズの発症により額にできた病変をなんとかしようと考えたアンドリューは、休暇をとります。そんな中、秘書へ提出するよう頼んだはずの訴状が紛失するトラブルが起こります。
なんとか訴状は見つかりギリギリのところで裁判所へ届けることができましたが、その翌日、アンドリューは解雇されてしまいます。誰かが意図的に訴状を隠し、解雇する口実を作ったと考えたアンドリュー。そして、その理由はエイズの影響だと確信し会社を訴えることに。アンドリューは何人もの弁護士に依頼しますが、引き受ける者は誰もいません。
黒人弁護士のジョー・ミラーもその1人。同性愛者を嫌い、自分もエイズに感染するのではないかと不安にかられたのでした。アンドリューは仕方なく本人訴訟を決め、図書館でエイズの訴訟について調べることにします。
すると、図書館員からエイズに関する本を調べていたという理由で個室へ移るよう促されました。その場面を目撃していたジョーは、自身もまた差別していたことに気づきます。
映画『フィラデルフィア』の解説
本作は、エイズと同性愛者がテーマとなっています。映画が公開された1990年代初め、世界中でエイズ患者が急増。事実と誤った認識が広まり、エイズ患者への差別や偏見が社会問題となっていました。
本作は、そんな差別や偏見に立ち向かう主人公・アンドリューの姿が描かれています。今では、エイズの症状を抑える薬の開発や研究が進んでいたり、性的マイノリティへの理解を深める取り組みが行われていますが、まだまだ改善すべき問題が多いのも現実。
もっと多様性を受け入れ、差別や偏見が無い世の中になって欲しいと感じる作品です。
映画『フィラデルフィア』のみどころ
本作は主演を務めたトム・ハンクスの熱演が見どころです。これまで健康的な姿だったトム・ハンクスは30ポンド(約13.6キロ)減量。病気と戦い、自分の性的嗜好と性癖を晒されながらも、不当な扱いを糾弾すべく裁判に挑み続ける主人公・アンドリューを熱演しました。
その多彩な演技力で、アカデミー賞をはじめゴールデン・グローブ賞、ベルリン国際映画祭などで主演男優賞を受賞。今や映画界になくてはならない存在です。また、ジョー役を演じるデンゼル・ワシントンの安定の演技力。2人の名優の熱演が光る本作は、絶対見るべき作品と言えるでしょう。
映画『フィラデルフィア』の感想
エイズと同性愛者を理由に、解雇されたアンドリュー。それだけではなく、図書館でエイズに関しての調べ物をしただけで冷ややかな目で見られたり、裁判では性的嗜好をさらされたりと、見ているだけで胸が苦しくなりました。
ですが、法廷場面だけではなく、アンドリューの家族や恋人のミゲールとのやり取りも描かれており、差別や偏見だけではなく人間同士の愛やつながりも感じられる本作。人間の尊厳というものを考えさせられる作品でした。
映画『フィラデルフィア』の登場人物・キャスト
アンドリュー・ベケット:トム・ハンクス
ジョー・ミラー:デンゼル・ワシントン
チャールズ・ウィーラー:ジェイソン・ロバーズ
ベリンダ・コーニン:メアリー・スティーンバーゲン
ミゲール・アルヴァレス:アントニオ・バンデラス
サラ・ベケット:ジョアン・ウッドワード
バド・ベケット:ロバート・キャッスル
ジル・ベケット:アン・ダウド
リサ・ミラー:リサ・サマーラー
ルーカス・ガーネット判事:チャールズ・ネイピア
テイト判事:ロバータ・マクスウェル
ジュリー・フォアマン:ダニエル・フォン・バーゲン
ギルマン医師:カレン・フィンリー
ウォルター・ケントン:ロバート・リッジリー
ジェイミー・コリンズ:ブラッドリー・ウィットフォード
ボブ・サイドマン:ロン・ヴォーター
アンシア・バートン:アンナ・ディーヴァー・スミス
ケネス・キルコイン:チャールズ・グレン
図書館員:トレイシー・ウォルター
Mr.ロジャー・レアド:ロジャー・コーマン
映画『フィラデルフィア』のスタッフ
監督:ジョナサン・デミ
脚本:ロン・ナイスワーナー
製作:エドワード・サクソン、ジョナサン・デミ
製作総指揮:ゲイリー・ゴーツマン、ケネス・ウット、ロン・ボズマン
音楽:ハワード・ショア
撮影:タク・フジモト
編集:クレイグ・マッケイ