映画『少女の髪どめ』をネタばれナシであらすじ・みどころを紹介!

映画

2003年4月26日に公開された映画『少女の髪どめ』。
この記事では、映画『少女の髪どめ』をネタばれナシであらすじ・みどころ・解説・感想をご紹介します。

映画『少女の髪どめ』の予告編

舞台はイランのテヘラン。建設現場で働く17才の青年ラティフが主人公です。彼が働く建設現場に、ある日ラーマトという一人の少年が雇われます。彼は、先日、作業中に負傷したアフガニスタンからの難民の男性の息子でした。けれど、まだ年若いラーマトは力仕事が出来ません。そのため、彼の仕事場はもっぱら台所。

それまでは、台所はラティフの仕事場だったので、最初はそのことを不満に思うラティフでしたが、ある時ラーマトが実は女の子だということを知り、やがてラティフは彼女に恋心を抱くのですが……。

映画『少女の髪どめ』のあらすじ(ネタバレなし)

イランのテヘランのとある建設現場。そこでは、密かにアフガニスタンからの難民である男性も働いていました。ある時、そんなアフガン難民の男性が作業中に負傷し、働けなくなります。そんな彼の代わりとしてやって来たのは、彼の息子であるラーマト。しかし、若年のラーマトに力仕事は無理でした。

そのため、今まで台所で現場作業員の料理やお茶を準備する仕事をしていた主人公のイラン人青年ラティフは、上役からラーマトに持ち場を譲り、ラティフ自身は過酷な建設作業に加わるよう命令されます。ラティフは面白くなく感じていましたが、ある時、ラーマトが実は少女であることを偶然知ってしまうのです。

やがて、ラーマトに密かな恋心を抱くようになったラーマトですが、ある日不法移民を取り締まる役人がやって来て、ラーマトは彼らに捕まりそうになってしまいます。それを全力で守るラティフ。彼は、その後もラーマトを陰ながら見守りますが……。

映画『少女の髪どめ』の解説

「太陽は、ぼくの瞳」のマジッド・マジディが監督・製作・脚本を勤めています。この「少女の髪どめ」は、2001年ナショナル・ボード・オヴ・レヴュー賞表現の自由賞、同年ヒホン映画祭監督賞、脚本賞、同年イラン映画批評家賞特別賞など数々の賞を受賞しました。

また、アフガニスタンからの難民の過酷な生活や、不法入国した難民を取り締まる役人なども出て来るため、アフガニスタン難民を取り巻く状況についても知ることが出来ます。

当時は、アメリカの同時多発テロの後のアメリカのアフガン侵攻がまだ活発だった頃なので、こうして国外に生活の拠点を移さざるを得ない難民も多くいたのです。そういった社会的、国際的情勢の背景も垣間見える映画です。

映画『少女の髪どめ』のみどころ

実は、この映画のラーマト役のザーラ・バーラミは、これが映画初出演です。演技経験も全くないため、彼女はほとんどセリフを口にしません。それがかえって、異国でしかも性別を偽ってまで働かなければならないラーマトを巡る孤独感や過酷な状況下で生きる健気さを強調するのに成功していると思われます。

見どころだと思われるシーンは、建設現場での仕事が出来なくなってしまったラーマトを追って彼女の住む場所まで訪ねたラティフが、川辺で本来の少女の姿のまま、また過酷な仕事に励むラーマトの姿を目にするところです。黙々と働く彼女の姿にラティフは涙を流します。彼の恋心の純粋さに胸を撃たれます。

映画『少女の髪どめ』の感想

イラン映画を見たのは、後にも先にもこれが1度きりなのですが、ラティフの心の純粋さと、ひたむきに生きるラーマトの姿が印象的でした。華美な表現がなく、素朴な表現に徹し、そこにかえってリアルさを感じましたし、アフガン難民を取り巻く環境の過酷さにどうにかならないものかと考えさせられます。

欧米の映画監督の作品にも優れたものが多いですが、この映画を見てイランにもこんな素敵な映画を作る人がいると知って、マジッド・マジディ監督作品をもっと色々見てみたいと思うようになりました。

映画『少女の髪どめ』の登場人物・キャスト

ラティフ:ホセイン・アベディニ
ラーマト:ザーラ・バーラミ
メマール:モハマド・アミル・ナジ
ナジャフ:ゴラムアリ・バクシ

映画『少女の髪どめ』のスタッフ

監督:マジッド・マジディ
脚本:マジッド・マジディ
製作:マジッド・マジディ フアード・ナッハス
撮影:マームド・ダウーディ
美術:ベーザド・カッザジ
音楽:アーマド・ペジュマン
編集:ハサン・ハサンドゥスト
衣装デザイン:ベーザド・カッザジ  マレク・ジャハン・カザイ

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